4年がかりで手づくりする田人特産手づくりこんにゃく。
「山のフグ」ともいわれる生こんにゃくの味をご賞味ください!
この土地で代々農林業を営んできたという緑川さん。
大正時代から受け継がれてきた種芋を使い、昔ながらの製法でこんにゃくを作り続けてきました。
こんにゃくは、種芋を植えてから製品になるまで4年の歳月がかかります。
4年分の愛情を受けてできたこんにゃくは味しみもバツグン。
煮物やおでんにしてもおいしいですが、薄く切って刺身にしても絶品です。
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田人町でこんにゃく芋が栽培されるようになったのは明治初期ごろといわれています。
緑川さん宅では大正時代から100年以上生産しているそうです。
栽培は本来、水はけが良く、南向きの日当たりの良い斜面で行うもの。連作を避けるため土を休ませながら栽培していますが、近年は夏の高温障害もあり、栽培が年々難しくなってきました。

多賀子さんが手にしている親指ほどの大きさの赤ちゃん芋を「生子(きご)」といいます。これを翌春に植え付け、秋に掘り起こすという作業を繰り返し、3年がかりで大きくしていきます。

大きく育った3年目のこんにゃく芋。さまざまな障害を乗り越え、ようやく収穫の時期を迎えることができました。

毎年秋に芋を掘り起こし、冬の間は納屋に保管します。霜でやられてしまわないよう、夜間は暖房をつけるなどしながら、室内の温度・湿度を一定に保っています。

すりおろした芋を手でかき混ぜて、「こんにゃく合わせ」と呼ばれる作業を行う多賀子さん。
多賀子さんは子育てが一段落したおよそ20数年前、仲間に誘われて本格的に生産に携わるようになりました。長い間こんにゃくづくりに携わった平寿さんの母の思いを引き継いで、今は息子家族も含め家族みんなで協力しながらこんにゃくづくりに励んでいます。

合わせたこんにゃくを手で滑らかに整える様子です。茹でる前のこんにゃくは水分を含んで透明感があります。芋の状態や季節によっても感触が違うそう。「掘り起こして間もないころの芋はちょっと青臭くて子供っぽい。少し寝かせてだんだんと良くなるの。人間と同じだなあって思うよ」と多賀子さんは話します。

平寿さんお手製の釜戸で30分以上こんにゃくを茹でます。
火にくべる薪には山仕事で出る杉の間伐材を有効活用しています。

崩れないよう時々かき混ぜながら、火を入れていきます。

ゆであがったこんにゃくを冷ませば、ようやく手づくりこんにゃくの完成。弾力のあるしっかりとした食感が楽しめます。

ぷりぷりとした食感の手づくりこんにゃくは「山のフグ」ともいわれています。地元の名産品として、近くの食堂やいわき湯本の老舗旅館でも提供されています。
栽培野菜のオススメポイント
こんにゃくを薄く切り水洗いしてから刺身で食べるのがシンプルでおいしいです。