35種類もの野菜を愛情たっぷり育てる“野菜の先生”!
滝正嗣さんはもともと学校の先生をしていましたが、先祖代々の土地を守り農家を継ぐために、50代で早期退職しました。それ以降は妻の美恵子さんや家族の手を借りながら、日々農作業に汗しています。 直売所のお客様にいかにおいしい野菜を届けるか、研究と実践の毎日です。
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大学を卒業後、長く学校の先生をしていた正嗣さん。50歳の時に早期退職し、両親が美恵子さんとともに守ってきた田んぼで本格的に農業をはじめました。
「少量ずつ、いろいろな種類を」と四季折々の野菜を計35種類も育てており、直売所や地元スーパーの産直コーナーに出荷しています。
夏野菜収穫のピークとなる7~8月は毎朝4時起きで収穫し、梱包したのち直売所に届けています。そのあとも午前中、夕方と妻の美恵子さんと2人で畑に通っています。
最近は気候変動で例年通りにいかないケースも増えているという正嗣さん。野菜の様子を細かく観察しながら、水やりや収穫、植え付けのタイミングを調節しています。
夏野菜を代表するナスも、長ナス、中長、丸ナスなど用途に合わせて数種類育てています。
また、夏野菜のほかに、人気の中華野菜である空心菜も栽培しています。
3月に種を播いて苗を育て、4~5月に定植します。
20㎝を超えると収穫し、直売所で販売していますが、滝さんの空心菜は大変好評で、店頭に並ぶとすぐに売れてしまうそうです。
※収穫は6月から10月の霜が降りる時期まで続きます。
野菜の栽培にあたっては、繫茂する竹林から切り出した間伐竹を竹チップとして有効活用しています。畑にまくと土壌改良できるほか、自然な防草効果も。このほか、地元畜産家から購入している豚糞や木酢液などの有機肥料を上手に取り入れることで、約5反の畑をローテーションしながら年間35種類とたくさんの種類の野菜を育てています。
また、滝さんは米の栽培もしており、約3町5反の田んぼではコシヒカリ、ミルキークイーンのほか、宇都宮大が開発し2010年に品種登録した「ゆうだい21」、もち米、酒米を栽培しています。正嗣さんイチ押しの「ゆうだい21」は背丈が約120~140cmとほかの品種より高く、大粒で食味にすぐれ、各地の品評会でも最高賞を受賞している注目の品種です。
いわきでいち早く作付けした一人でもある滝さんは、「知名度はまだまだ低いが、美味しさはピカイチ。消費者にも広まってほしい。」と語ります。
湯ノ岳を望む絶好のロケーションにある滝さんの田んぼ。9月にはいち早くもち米「こがねもち」と酒米「夢の香」が収穫を迎えます。
「夢の香」は二十歳を迎える地元の若者が米作りや酒の仕込みを体験する「いわきハタチ酒プロジェクト」の原料として使われています。滝さんは2022年からプロジェクトに協力しており、学生たちと一緒に昔ながらの田植えや稲刈りを楽しんでいます。
自宅にはかつて米の栽培研究に使った稲穂がズラリと並んでおり、米に対する滝さんの熱意が伺えます。
50代で本格的に農業をはじめた滝さんも現在80代。これからは次世代への継承も視野に入れ、農業用ドローンなどの最新技術も上手に取り入れながら、愛情たっぷりに野菜の成長を見守っていくつもりです。
ヤーコン(9月~11月に収穫)、ツルムラサキ(6月~10月に収穫)他にハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、レタス、なた豆、キュウリ、インゲン等、年間を通して多様な野菜を栽培しています。